貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 そう言ってから子爵は改めてゲルハルトを見つめた。

 若い黒狼の王が、よく動き、よく喋るナディアのどこに惹かれたのか不思議に思ったのだ。

 ひと目見た限りではとても相性がいいように見えない。娘のような賑やかな相手を好まない性格だろうという印象を受けた。

 だが、子爵はゲルハルトへの質問を胸に秘める。他国の王に対して問いただすのは失礼だという思いもあったし、なにより義父が娘離れできていない面倒な男だと思わせたくはなかった。

 それでも父心を完全に消し去るのは難しく、伝えたい気持ちを明かす。