貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 娘に会う機会を見逃せるはずもなく、まだ身体が本調子ではないのにこうして会いに来たのだった。

「こっちでの生活が忙しすぎて手紙を送るのを忘れていたわ。ごめんなさい、心配したわよね」

「いいのよ、きっと元気にしてるって思っていたから」

 ナディアの謝罪を夫人は温かく受け入れ、声を震わせて再び娘を抱き締め直した。

 再会に喜ぶふたりの横で、ゲルハルトがリシャール子爵と初めて顔を合わせる。

「ゲルハルト・ヴァン・レーヴィヒと言う。あなたがナディアの父君か」

「シメオン・イアサント・リシャールと申します。陛下への拝謁をお許しいただき光栄です」