涼やかな、それでいて唸るような低い声が夜風に紛れる。
目の前の獣人が言ったのだとナディアが気づくまで少し時間がかかった。
「言葉が通じないのか?」
「だ――いじょうぶ。ありがとう」
なんとか気力を振り絞ったナディアが立ち上がろうとする。しかしまだ心が身体に追いついていなかったせいか、よろけて倒れそうになった。
咄嗟に目を閉じるも、その前に彼女は温かなものに包まれていた。
はっと顔を上げ、自身を支えてくれた獣人を再び見つめてしまう。
(なんてきれいな瞳なの)
ナディアを捉えている瞳は、陽が落ちたあとの僅かな時間だけ空を染める藍色。
目の前の獣人が言ったのだとナディアが気づくまで少し時間がかかった。
「言葉が通じないのか?」
「だ――いじょうぶ。ありがとう」
なんとか気力を振り絞ったナディアが立ち上がろうとする。しかしまだ心が身体に追いついていなかったせいか、よろけて倒れそうになった。
咄嗟に目を閉じるも、その前に彼女は温かなものに包まれていた。
はっと顔を上げ、自身を支えてくれた獣人を再び見つめてしまう。
(なんてきれいな瞳なの)
ナディアを捉えている瞳は、陽が落ちたあとの僅かな時間だけ空を染める藍色。

