貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます！～二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?～

「少し見ないうちになんだか顔つきが変わったように見えるわね。でもいい変化だわ。エスタレイクでの生活がいいものだって、あなたの顔を見てすぐにわかる」

　娘を抱き締めた子爵夫人が頬を擦りつけながら言う。

「お母様こそ、最後に見た時よりも美人になったわ。お父様と素敵な毎日を送っているのね」

「なに、ナディアがいた頃とそう変わらないよ。……本当に元気そうでよかった」

　彼らは娘が貢ぎ物として送られた後、泣き濡れて暮らした。

　夫人に至っては食事が喉を通らず床について過ごす時間も増えていた。しかし先日ナディアが元気そうにしていたと人づてに聞いて気力を取り戻したのである。