貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 のんびりと楽しく、笑っていられる場所を用意しようと、これまで自分のために使わなかった私財を惜しみなく投入した結果がこれだ。

 別邸に案内される際、人間たちは獣人からここが『王が特別な人と過ごすために新設した場所だ』と説明した。

 ゲルハルトがひと言も発せずとも、ナディアがどれほど愛された存在であるかを思い知らされたジャンの心中は穏やかではない。

 邪魔だと思っていた女をおもしろおかしく国から追い出し、いつまでも惨めな姿を楽しんで優越感に浸ってやろうとしていたのに、これでは目的が果たせない。

 コリンヌも顔には出さないながらも激しい嫉妬に唇を噛んでいた。