貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 リシャール子爵はジャンの悪意に気づかないまま、先日は会えなかった娘に会えると歓喜してエスタレイク行きを決めたのである。

 ナディアがそうだったように人間たちは長い船旅に飽いていた。

 ようやくエスタレイクに到着した頃には短い秋が終わって、既に冬が始まっている。

 フアールではまだ秋の頃合いだが、地面には白く雪が積もっていた。

 エセルが用意した案内人の先導で城に向かった彼らは、新しくできたばかりだという離れの宮に足を踏み入れた瞬間息を呑んだ。

 広間の天井から気持ちのいい陽射しが差し込んでいる。

 硝子(ガラス)作りのものかと思いきや、それは薄く加工されたレスティライトだった。