貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ひとりで外に出ている理由は、人間の好奇の目を避けるためか、単純に男がそういった場所を好まないからか。

 ナディアは前者ではないだろうかと考えた。

 すらりとした印象を与える黒地の服に銀糸が刺繍された服は、どう見ても貴族階級以上のもの。それなのに胡散臭い占い師のようなフードがついている。

 人の目があるところではかぶっていたのだろう。今は誰も来ないと判断して脱いだに違いない。

 ついまじまじと見てしまったが、ナディアは初めて近くで見る蛮族の姿に腰を抜かしていた。一度目の人生では遠目にしか見たことがなかったのだ。

「手を貸した方がいいのか」