貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 掴まれていないほうの手でゲルハルトを押しのけようとする。

 しかしそんな弱々しい力でどうにかできるほど、軟弱な身体ではない。

「おまえも同じ気持ちだろう。だから俺を受け入れたんだ」

「お願い、もうちょっとだけ離れて。あなたは自分の顔のよさを自覚したほうがいいわ」

「俺に言わせたくせに、おまえは好きだと言わないのか?」

 こんな時にナディアは、ゲルハルトが本当に狼なのだと悟った。

 絶対に獲物を逃さないという強い意思を感じる。

「だいたい、どうして勘違いだと思うんだ。おまえを嫌っているなら部屋に入れないし、ともにフアールへ向かおうとも思わないだろう。キスだって──」