貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「そっ、そこまで厳密に考えなくていいのよ。どちらにせよ、一緒にいればそんなふうに思われるだろうけど。きっとこの会場にいる人はそう思っているはずだわ」

 いかにも獣人らしい言い方はナディアをひどく動揺させた。

 まだゲルハルトがどういうつもりでキスをし、ナディアを特別扱いしているのかはっきりわかっていないのだ。

 好きだというたったひと言をまだ贈られていない。

「俺とつがいに見られるのは嫌か?」

 あまりにもナディアが目を泳がせたせいか、ゲルハルトが控えめに言う。

 いつもはぴんと立っている耳が髪に紛れるように垂れていた。

 ナディアの視界の隅で黒い狼の尾がゆっくりと揺れる。