貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「わかっているのよ。貢ぎ物なんて勝手に言わせておけばいいって。でも……だめね。どうしても気になってしまって」

 前世でも味わった虚しく屈辱的な時間を思い出し、ちくちくと針で刺されるように胸が痛む。

 顔を上げろと言われても上げられずにいたが、不意にゲルハルトの指がナディアの顎を持ち上げた。

「おまえは貢ぎ物ではなく、エスタレイクの客人としてこの場にいるんだ。俺の隣でそんな顔をしないでくれ」

 ナディアの顔は不安でいっぱいになっている。

 ゲルハルトは緊張をほぐすようにやわらかな頬に触れ、以前したように鼻先をこすりつけた。