貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「とても蛮族と呼ばれる生き物には見えないわね……?」

 ゲルハルトが国王への挨拶を済ませて背を向ける。

 それを追いかけるようにひそひそと声がさざ波のように広がった。

 狼耳がひとつひとつの言葉に反応してぴくりと動く。

「今のところ、おまえを嘲る声はないな」

 周囲の視線を一身に集めながら、ゲルハルトが言う。

 人目を惹かないよう壁の花になるつもりだったが、ここまで注目を集めてしまうと難しい。

 さらに悪いことに、男性陣はナディアが身につけているものを目ざとく見つけてしまった。

「おい、あのピアス……まさかレスティライトじゃないか?」

「いやいや、よく似た石だろう?」