(もう少し早くここでパーティーを開いてくれればよかったのに。そうしたらきっと、たくさん咲いているところが見られたはず……)
目の前に開けた場所が広がり、思わず足を止める。
大理石でできた四阿(あずまや)の陰に、ひと際深い漆黒が立ち尽くしていた。否、それは夜の闇が集まったなにかではなく、人の形をしている。
柱にもたれているその男はひとりだった。
これまで男女の組み合わせばかりだったこともあり、奇妙に感じて歩み寄ろうとしたナディアだが、ふと途中で足を止めた。
視線の先に、人間にはありえないものがあったからだ。
男の頭上には、明らかに狼のものと思わしき耳が生えている。
目の前に開けた場所が広がり、思わず足を止める。
大理石でできた四阿(あずまや)の陰に、ひと際深い漆黒が立ち尽くしていた。否、それは夜の闇が集まったなにかではなく、人の形をしている。
柱にもたれているその男はひとりだった。
これまで男女の組み合わせばかりだったこともあり、奇妙に感じて歩み寄ろうとしたナディアだが、ふと途中で足を止めた。
視線の先に、人間にはありえないものがあったからだ。
男の頭上には、明らかに狼のものと思わしき耳が生えている。

