聞こえてくる声がこればかりだという事実に、ジャンもそれが目的で外に出ているのではないかという嫌な予感を覚えた。
(婚約者がいる身でそんな不誠実な真似をするはず……。でもあの人は私がいても平気な顔で側室を寵愛するような人間だったわね)
探しているうちに、ナディアは春の区画に辿り着いた。
なぜ春だとわかったかといえば、彼女の好きな花が植えられているからである。残念ながら夏を過ぎた今は青々とした葉が生い茂るのみだ。特徴的な葉でなければ、それが好きな花のものだとは気づけなかっただろう。
(婚約者がいる身でそんな不誠実な真似をするはず……。でもあの人は私がいても平気な顔で側室を寵愛するような人間だったわね)
探しているうちに、ナディアは春の区画に辿り着いた。
なぜ春だとわかったかといえば、彼女の好きな花が植えられているからである。残念ながら夏を過ぎた今は青々とした葉が生い茂るのみだ。特徴的な葉でなければ、それが好きな花のものだとは気づけなかっただろう。

