貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ナディアは練習よりもずっと軽やかに足を運び、ゲルハルトに応えた。

 ホールでダンスをしているのはふたりだけで、周囲の人々の視線が集中する。

 しかし今は気にならなかった。ナディアには目の前のゲルハルトしか見えていなかったからだ。

「あなたの正装を見たのは最初に出会った時以来かしら」

 フアールから貢ぎ物として送り込まれたあの日、突然の来訪だったために彼は軽装だった。

「でも今日はフードをつけていないのね」

「耳を隠す必要がないからな」

 視界の隅でゲルハルトの装飾品が揺れる。

 ナディアのピアスと同じ、レスティライトで作られたものだ。