貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ナディアはゲルハルトの言葉を聞いたエセルがホールの隅で深くうなずいたのを見た。

 妙に満足げなのは、あのゲルハルトが人間という種族に歩み寄ったからか。

 実際は相変わらず春の予感に喜んでいたからだが、ふたりはそれを知るよしもない。

 やがてひと通りの挨拶を終えると、お待ちかねのダンスが始まった。

 最初のダンスは国王のゲルハルトと、彼が選んだ特別なひとりだけだ。

「練習の成果を見せてくれないか?」

 手を差し出されたナディアは、正装に身を包んだゲルハルトを見つめて微笑んだ。

「驚かせてあげるわ」

 自分よりも大きな手を取ると、強い力で引き寄せられる。