貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ほかの誰にも望まなかった『もう少し』の距離を埋められて、自分もこのぬくもりを欲していたのだと思い知る。

「それと、足を踏むなよ」

 ゲルハルトが茶化しながらナディアの足を軽く爪先でつつく。

 心を許しきったゲルハルトの笑みは、これまで以上にナディアの心を惹きつけた。

(私もこの人の笑った顔が好きなのかもしれない)

 広い胸に額を押しつけたナディアを、ゲルハルトが抱き締める。

 ふたりは外の寒さも忘れ、しばらく想いを交わし合った。



 翌日、エスタレイクの城下町は大賑わいだった。

 石畳の大通りには屋台が並び、商品の売買が行われている。