貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「怖がるな。明日(あす)どうなるかがわからないのは誰だって同じだ。それが生きるということだろう」

「でも」

「忘れたのか? おまえが死にそうになったら俺が助けてやると言ったはずだ」

 すん、と鼻を鳴らしてナディアが顔を上げる。

 不安と怯えでいっぱいになっているその顔を見て、ゲルハルトの中で抗いがたい思いが芽生えた。

「おまえは笑っているほうがいい」

 長い指がナディアの顎を持ち上げる。

「泣くとひどい顔になるからな」

 ひと言余計だと言おうとしたナディアだったが、その言葉は声にならなかった。

 唇をやわらかなもので塞がれ、呼吸が止まったからだった。

(なに?)