貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ぎゅっとナディアが胸に当てた手に力を込めた。

(うれしい。……けど、怖いわ)

 ナディアの頬が宵闇の中でもわかるほど赤くなっていく。

 まばたきをしたはずみに、ほろりと涙がこぼれ落ちた。

「どうした?」

「怖くなったの。明日死んでしまったらどうしよう……」

 子供のように泣き始めたナディアを見て、ゲルハルトが少し動揺を見せる。

「前の人生と違うから、明日がどうなるかわからないの。幸せになれたのに、また死ぬかもしれない」

 ゲルハルトはナディアが以前語った言葉を思い出していた。

 その上で泣きじゃくる彼女の頬を濡らす涙を拭い、そっと後頭部を引き寄せる。