貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 振り返ったナディアは夜に紛れるような黒服に身を包んだゲルハルトに気づき、どきりと鼓動を高鳴らせる。

「返事がないからもう寝たのかと思った」

 そう言って歩み寄ったゲルハルトの手には白い箱がある。

「ごめんなさい、ノックに気づかなかったわ。こんな時間にどうしたの?」

「約束したものを渡しに来たんだ」

 約束、とナディアが口の中でつぶやく。

 ゲルハルトは彼女の前に立つと、手のひらを覆う大きさの箱を開いた。

「……まあ」

 そこには一対の美しいピアスが収められていた。