貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 きゅっとナディアの胸が締めつけられた。

 人間を嫌い、ナディアとも必要以上にかかわろうとしなかった黒い狼の王。

 いつの間にかその存在が大きくなって、今や彼なしの日々を思い描けないほどになった。

(やっぱりゲルハルト様のことを考えると、胸の奥が変になる)

 外気にさらされ冷たくなった手すりに触れ、ナディアは息を吐いた。

 白く色づいた空気が宙に溶けて消えていく。

(充分仲良くなれたと思う。だけど、ほかの誰よりも『もう少し』を望んでしまうのはなぜ?)

 瞬く星を見上げた時、背後で物音がした。