貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ゲルハルトはナディアからふっと甘い香りが漂ったのを感じ、ダンスで乱れた髪に手を伸ばす。

 前髪を耳にかけ、やわらかな耳朶に指を滑らせた。

「ピアスがいいな。おまえの髪を引き立たせる色にしよう」

「あ、ありがとう」

 それだけ言うのが精いっぱいのナディアは、ゲルハルトが自身のピンクゴールドの髪をひと房つまんで口もとに引き寄せたのを見た。

 息を呑んだナディアの前で、甘い色の髪に口づけが落ちる。

「ほかのものは選んでもいいが、ピアスだけは選ぶなよ」

「……うん」

 何事もなかったように離れたゲルハルトを、ナディアは目で追いかけた。