貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 くるくると表情の変わるナディアを見ていると楽しくてたまらない。

 いつもの彼にはありえない心の動きを、ナディアも感じ取っていた。

 ゲルハルトの表情が普段よりもやわらかくて、目を逸らせなくなる。

 ふたりとも、目の前にいる相手のこの瞬間をいつまでも見ていたいと思っていた。

 今が永遠に続けばいいと、同じ思いを抱きながら笑みを交わす。

 その様子をエセルたちがしみじみと見守っていた。

「春ですねえ」

「荒療治にもほどがあります。……ああ、また足を踏んで」

 ナディアたちはその視線に気づかないまま、お互いに夢中になっていた。

 やがて曲が終わり、楽しい時間に別れがやってくる。