貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 誰の証もない彼女の肌に自分だけの痕を残したくて、以前そうしたように顔を寄せる。

「ち、近くない?」

 教師から聞いていた距離よりもずっと近づかれ、ナディアはひどく動揺した。

 そのせいで足もとが乱れ、ゲルハルトの爪先を踏んでしまう。

 その小さな痛みが、衝動に突き動かされたゲルハルトを引き戻した。

「その間違え方は怒られても仕方がないな」

「先に間違えたのはきっとあなたよ。だって先生と違ったもの」

「だが、当日相手をするのは俺なんだろう? だったら合わせろ」

 冷静な振りをしながら、ゲルハルトは妙に高揚する自分に気づいていた。