貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 最初は緩やかに、徐々に曲調に合わせて軽やかに足を動かした。

 ナディアは教わったばかりにもかかわらずよくやっているほうだった。

 それでも間違えまいと集中しているからか楽しむ余裕はなく、真剣な表情で眉間に皺を寄せている。

 その顔を見て思わずゲルハルトは微笑んでいた。

「ひどい顔だな」

「失礼ね。これでも必死なのよ」

 つられたようにナディアの表情がほころぶ。

 ふと、ゲルハルトはその笑みに自分の心が強く揺り動かされたのを感じた。

 彼女に触れている場所が熱い気がして、〝他人〟という存在を自身の懐に受け入れていることを実感する。

 また彼女に噛みつきたい、と思った。