貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「まだ練習を始めたばかりでしょうが、どうです? 今、ゲルハルト様と踊ってみては」

 絶妙なタイミングでエセルが言い、それを聞いた教師が顔をしかめる。

「ようやく基礎を覚えたところですよ。陛下のお相手をするには……」

「実践も大切でしょう?」

 それでも早すぎると思っているのは間違いなかったが、最終的に教師はエセルに折れた。

 彼女は厳しく教えはしても、勉強には楽しさが必要だと思っている。ナディアがゲルハルトと踊って楽しみを見出せるなら、それが一番だと考えたのだった。

 ホールの真ん中で向かい合ったふたりはどちらも同じくらい緊張していた。