派手好きで他者の視線を集めたがる彼だが、王族としておいそれとパーティーを開くわけにはいかない。だから自身と親交の深い貴族に声をかけ、開催された場に自身が出向くというわけだ。

「ねえ、ナディアさん。ぜひお話を聞かせていただきたいわ」

 貴族の中でも低い子爵位にもかかわらず、ナディアは王子の婚約者という立場を得ている。

 それを貴族の令嬢たちが苦々しく思わないはずはなかった。

 だが、それを表情に表す者はひとりとしていない。彼女たちもまた、貴族としての立ち居振る舞いに慣れている。

 本心をさらけ出せばあっという間に絡め取られる世界だと知っているのだ。