貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 汗を拭っていると、そこに思わぬ人物が現れた。

「順調か?」

 ゲルハルトの後ろにはエセルが控えている。

 ナディアは自身の教師が惚れ惚れするほど美しい所作で礼をするのを見て、自分のぎこちなさを苦々しく思った。

「覚えは早いほうです。ただ、単純に覚えなければならない作法が多すぎます」

「当日にそれらしく振る舞えればそれでいい。なにもかも叩き込む必要はない」

 ゲルハルトがへたり込んだナディアに視線を向ける。

「そんなに息を切らすような礼儀作法があったか?」

「今はダンスの練習中なの……」

 ふう、とひと息つくとナディアは壁を支えに立ち上がった。