貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 よい人を見つけてくれたものだと、四苦八苦しながらもナディアはエセルに感謝した。

「稀に耳を差し出す者がおります。心を許している旨を伝えるための行為になりますので、その際はよほどの事情がない限り拒まず触れてください」

「えっ?」

「どうかしましたか?」

「あ、いえ、ごめんなさい。なんでもありません」

 教師に耳への接触を許す作法を聞いている間、ナディアは違うことを考えていた。

(私、ゲルハルト様の耳に触ったわ)

 いきなり触ろうとして怒られたが、彼は触りたければ触ってもいいと言った。

 しかし今聞いた話が本当ならば、獣人の耳に触れるのは思っているよりも特別な意味がある。