貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ふたりの間に春の予感を覚えているエセルは、以前にも増してゲルハルトにナディアの件であれこれと提案する。

 ゲルハルトもそれには慣れたつもりだったが、今回はいつもと様子が違っていた。

「人間が城で、しかも陛下のそばで生活しているのですよ。望まぬ形で知れ渡るよりは、陛下自ら歓迎の意を示して披露すべきだと思います」

「言いくるめられているようにしか聞こえないんだが、おまえはどう思う?」

 話を振られたナディアは、持っていた本を棚に置いてから答える。

「披露といってもいろいろ方法があると思うの。表向きにはただの留学生だし、変にことを大きくしないほうがいいんじゃないかしら?」