貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 夏と秋の境目がほとんどないため、冬が訪れてからが本番である。

 今日もナディアはしっかりと着込み、ゲルハルトの部屋で本の整理をしながらお喋りを楽しんでいた。

「離れで工事をしているようだけど、あれはなにを作っているの?」

「古くなった宮を改築しているんだ。完成まではもう少し時間がかかるだろうな」

「できあがったら見に行ってもいい?」

「ああ、かまわない。壊すなよ」

「壊さないわよ!」

 そこにエセルがやってくる。

「陛下、ナディア様の存在を正式に披露すべきではないでしょうか」

「なんのために?」