貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 さすがに居心地の悪さを覚えて仕事に戻ろうとしたが、ゲルハルトは見逃さなかった。

「おまえは自分の貧弱さを自覚するべきだな」

 ナディアが倒れたのはいろいろな要因が重なったからだ。

 劇的に環境が変わり、気を張り続けたのが大きい。

 単純に人間の肌には合わないエスタレイクの気候のせいもあった。

 それが緊張した状態にあるままひと晩起きていたことと重なり、限界が来たのだろうとエセルは語った。

 ナディアはそれが不思議だった。

 なにせ彼女は前世、足を満足に伸ばせない狭い灰の塔にて三十日生き延びたのだから。