貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 視線を下に向け、うつむいたままゲルハルトの言葉にうなずく。

 手首に絡んでいた手が離れ、ナディアはおそるおそる狼耳に触れた。

 指先をふんわり包み込む毛を想像していたが、実際は全然違う。

 意外に固い毛は、彼の黒髪の感触と異なっている。

 ナディアが獣に触れるのはこれが初めてだったが、もしも野良猫や野良犬に触れていれば耳のやわらかさがそれらに似ていたとわかっただろう。

「私、初めてあなたを違う種族なんだって思ったわ」

 そういうものだと理解はしていても、あくまで知識としての理解だった。

 なにがどう違うのか肌で感じ取り、自分と同じぬくもりを持つ生き物なのだと知る。