貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「な、なに?」

「先にひと言あれば、別に」

 言いかけたゲルハルトの頬に朱が差す。

 幸いというべきか、月明かりを背にしているおかげでナディアはその変化に気づかなかった。

「触りたければ触ってもかまわないが、いきなり手を出すのはやめろ」

「えっ、いいの?」

「同じことを俺にさせるなら」

 ゲルハルトにはナディアの行動の意味がわかるような気がしていた。

 彼女が眠っている時、なぜか触れたいと思ったのときっと同じだ。

「おまえに触れさせてくれ」

 ナディアは目を大きく見開くと、なにか言おうとしてからきゅっと唇を引き結んだ。