貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「ごめんなさい。なにをしてるのかしらね。許しもなく他人に触れるなんてどうかしてるわ」

 王妃だった前世はもちろん、今世でさえそんな真似をした経験はない。

 どうしてゲルハルトの前だと、前世も含めこれまでに生きてきた時間が消えてしまうのか不思議でならなかった。

 手を引こうとしたナディアだったが、それを見たゲルハルトが顔をしかめる。

 触れられたくはないのに、そうならないと知って急に惜しくなった。

(どうかしている)

 奇しくもナディアが言ったものと同じ感想を自身に抱き、反射的に離れていく手を引き寄せる。

 その勢いが強すぎて、ナディアは広い胸に思い切り顔をぶつけてしまった。