貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 今までに思っていたものと似て非なる気持ちは、ナディアの胸に甘い疼きをもたらした。

 肩にかけた上着に残るぬくもりが、締めつけられるような感情を加速させていく。

 思わずナディアはその耳に手を伸ばしていた。

「おい」

 触れられる前にゲルハルトがナディアの手首を掴む。

 細く白い手首は、少し力を入れただけで簡単に折れてしまいそうだった。

 それに気づき、すぐ手に込めていた力を緩める。

「馴れ馴れしい真似をするな」

「なんだか触ってみたくなったの」

 突然高じた思いのままに動いたが、よく考えずとも非常識な行為である。