貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 一気に流れ込んだ北部の風に、ナディアが震えあがる。

 ゲルハルトは慎重に彼女を手すりのそばへ下ろしたが、小柄な身体は冷たい空気に震えていた。

「こんなに寒いなんて聞いてない……」

「人間は本当に弱いな」

 ふ、と笑ったゲルハルトが自身の上着を脱ぐ。

「なにを……」

 しているのだ、というナディアの質問は最後まで言葉にならなかった。

 ゲルハルトのぬくもりが残る上着を肩にかけられたせいだ。

(この人の匂いがする)

 暖かいと思うよりもまずそんな感想が立って、カッとナディアの顔が赤く染まる。

 異性を強く意識させる香りにますます心臓が騒ぐも、それを伝えるのは抵抗があった。