貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 外の空気を吸うために手を貸してほしかっただけだ。それがどうして抱き上げられる羽目になっているのか。

 しかも、以前転んだ時に抱き上げられた時とはなにかが違っていた。

 筋肉が衰え、弱っているナディアに負担をかけないようにとゲルハルトがしっかり抱き締めているせいである。

 おかげでやけに密着してしまい、ナディアは余計に目の前の男を意識した。

(なんなの? 心臓が変だわ……)

 筋肉質なゲルハルトの腕に包まれていると、鼓動が勝手に速くなる。

 ゲルハルトは人ひとりを運んでいるとは思えないほど軽快に、バルコニーへ出るドアを開け放った。

「寒いわ」