貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 くすぐったいようなこの場から逃げ出したいような、目の前の相手から離れたいのにこのままでいたい矛盾した気持ちを同時に抱く。

 しかしふたりとも相手が自分と同じ思いでいると知らなかった。

 このままこうしていたら熱が出そうだと、火照り始めた頬に動揺したナディアはわざとらしくゲルハルトに言う。

「ちょっとだけ外の空気を吸いたいわ。いい?」

「だめだと言う理由はないな。だが、今のおまえは歩くのに苦労するだろう。ずっと眠っていたのだから」

 まだ数日眠っていたと信じられないナディアは、足を動かそうとしてゲルハルトの言葉を理解する。