貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 人間の命の奪い方ならよく知っている。だが、アウグストが言うように〝人間のため〟になることがわからない。

(俺はこの女のためになにかしたいと思っているのか……)

 いつから自分がナディアという存在に興味を抱き始めたのか思い出せない。

 おかしな人間だと思った最初の出会い。エセルの余計なお節介に呆れる日々。

 死にたくないと泣いていたくせに、エスタレイクでは笑って過ごすナディアがいつの間にか当たり前の存在になっている。

「……早く礼を言わせてくれ」

 ナディアの献身的な看病は鬱陶しくもあり、うれしくもあった。