貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 少なくとも城下町には行き渡ったと、今日の午後にエセルから連絡を受けている。

 回復したゲルハルトは自らの足で城の者たちのもとへ出向き、病について質問した。

 その際にナディアについてもそれとなく尋ねたが、誰も彼もが彼女を心配していたことに不思議と胸が熱くなったのを覚えている。

「美味いものを用意しろって言われたらいくらでも作れるんですよ。でも俺は、人間が倒れた時に食えるものを知らない。ナディア様が目を覚ました時、なにを食わせりゃいいんでしょう? そんなこともわからないのが悔しいんです」

 瞳を潤ませていたアウグストの言葉が妙に引っかかっている。