貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「眠っているのに?」

「眠っていれば、人間嫌いのあなたも顔を見に行きやすいでしょう?」

 それでは、とエセルが席を立って部屋を後にする。

 ゲルハルトは彼が残したひと言を噛み締め、軽く手で顔を覆った。

 なぜ胸の内がもやもやと渦巻いているのか、理解できずに。



***



 ナディアが眠りについて三日が経ち、ついにゲルハルトは重い腰を上げた。

「彼女はどうしてる? もう目を覚ましたか?」

「気になるならご自分で行けばよろしいでしょう」

 そんなやり取りを何度もエセルとした結果が今である。

(起きていなければ、たしかに顔を見に行きやすいな)