貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 心動かされたのは久し振りに他人のぬくもりを感じたからだけではない。

 こちらが想像している反応を見せてくれない物珍しさと、かすかな違和感のせいだ。

「思えばあの女は、違う種族の国で過ごすことになっても悲観的にならなかったな。むしろ前向きすぎるくらい前向きだった」

「そう、そんな印象です。地に足がついているように思えないのです。家族を恋しがって泣くわけでも、故郷へ帰りたいと訴えるわけでもない。……不安になるほど、〝今〟を生きていませんか」

 やはりエセルの言葉は曖昧で、まるで謎かけのようである。

 それなのにゲルハルトは共感し、エセルに向かってうなずいた。