貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ゲルハルトもナディアを気に入っていないと言えば嘘になる。

 たしかに彼女には惹かれるものがあるのだ。

 たとえば、小さい手から伝わるあのぬくもり。無遠慮に線を踏み越えるようでいて、本当に嫌な部分には触れまいとするこそばゆい優しさ。寄り添うだけで妙な安堵を覚えるのはゲルハルトだけではない。

「なにがと言われると悩ましいですが。ナディア様はおそらく私が想像していた〝人間〟という種族から少し外れているのではないかと。あの方は妙に楽観的でしょう? そのせいで目を離せないのです」

「それがどうした? 楽観的な者ならこの城にも大勢いる」

「言葉にするのは難しいのですよね」