そこにはナディア以外にもふたりの姿があった。

「こんな小さい身体で俺たちのために……」

「病人のそばでめそめそするんじゃないよ。あんたにできることをしなさい」

 アウグストとベスのふたりは、部屋を訪れたメイドたちを振り返り素早く情報交換を始めた。

「じゃあなにかい、あんたたちもナディア様を助けようと思って?」

「はい! 私たちがベッドを出られるようになったのはナディア様のおかげですから!」

 アウグスト夫婦もまた、わずかな薬を先んじて与えられた者たちである。

 そして彼らもナディアつきのメイドたちと同じことを考えたのだった。