「エセル、いる?」

 必要な事柄を伝え終えたエセルは早々に退散した。

 顔色が悪いまま隣室で事務仕事に勤しんでいたところへ、ナディアは薬を持たずに歩み寄る。

 エセルもまた、ナディアにつき合って休みなく働いていた。

「あなたが言っていた通り、橙色の薬になったわ。あれが病気に通用すればいいのだけど」

「お疲れ様でした。ある程度は祈るしかありません。どんな結果になるにせよ、あなたに非はありませんよ」

「……ありがとう。私に病気の知識があったらよかったわね」

 実際、ナディアにはその可能性もあったはずなのだ。