貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「エセルの頼みを無視できないでしょ? それにあなたは一応病人だわ」

 重ねた手のひらは当然ながら大きさが違っていた。

 ナディアはその手をそっと包み込む。祈るように両手を合わせ、自身のぬくもりをゲルハルトに移そうとした。

(こんなふうに触れる人もきっといなくなってしまったのよね。……それなのに私が近づいた時に怖いかどうか聞いてくれた。自分がどう思うかより、私がどう思うかを優先してくれたのね。寂しくて優しい人だわ)

 ふたりはしばらく無言で手を握り合っていた。

 お互いになぜそうしていたのか、説明しろと言われたところでできなかっただろう。