貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「……俺が? 仇を八つ裂きにして骨ごと噛み砕いてやったのに? なにを悔やんでいると言うんだ」

「だってそういう顔をしてる」

 無意識に伸ばした手がゲルハルトの頬に触れた。

 予想外の行動だったのか、その表情が驚きと戸惑いに揺れる。

「あなたがどういう人かいまいちわかってなかったけど、今理解できた気がする。優しいのね」

 ひとり残らず噛み殺したい人間を、そうはせずにつき合っている。

 それはこの国のためだ。さらに言うなら、ゲルハルトの両親の想いが残る故郷のため。

 ゲルハルトにとって本当に自分のしたいことをした瞬間は、復讐を遂げた時だけだった。