貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「同じ人間として、そんな話を聞いた以上黙っていられないわ。あなたが私たちを嫌うのは……思い出すからなのね」

「ひとり残らず噛み殺してしまいたいとは常に思っている。だが、おまえは俺が憎んでいる人間とは違う」

 ナディアは顔を上げて、結局ゲルハルトと目を合わせた。

 深い藍色には悲しみだけでなくやるせない後悔も滲んでいる。

(この人、後悔しているんだわ。誰も守れなかったから)

 人の姿にもなれないゲルハルトにできたことがあったとは思えない。

 彼の父が人の言葉を扱ってなお、密猟者たちには届かなかったのだから。

「あなたも悔やまなくていいと思うの」