貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 獣人は幼少を獣の姿で過ごし、人の姿をとるようになって成人と認められる。ナディアはそれをメイドたちとのお喋りで学んでいた。

「エスタレイクの国王夫妻が……? そんな話、初めて聞いたわ」

 前世でも今世でも初めて聞く話に、ナディアはただならぬものを感じて背筋を伸ばす。

 単なる好奇心から踏み込んでいい内容ではないと、感情を押し殺したゲルハルトの表情から感じ取った。

「穏やかな人たちだった。幼い俺を自然と触れ合わせるために平原のほうへ下りたんだ。同じ狼の部下たちとともに、人ではなく狼として草の上でたわむれた。……温かい春の日だったな」