貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「お嬢様、どうして厨房のことなんてご存知なんですか?」

「夢で見たの」

 そうとしか言えず、ナディアは不思議そうにするメイドを振り切って自室へ戻った。

 混乱が完全に落ち着く前に、現場を確認したらしいメイドから報告を受ける。

「お嬢様の仰る通りでした。今、塞いでおりますからもう猫は入り込めませんよ」

「……それならよかったわ」

 答えるナディアの声は微かに震えていた。

(知るはずがないのよ。生まれてから一度も厨房に入った経験がないんだから)

 リシャール家は先祖代々伝わる子爵家ではなく、ナディアが生まれ少し前に爵位を賜った新興の貴族である。